コラム

会社で車を所有する際、必ず検討したい「リースバック」とは?【税理士が解説】

公開日:2024年09月27日 更新日:2024年09月27日

「リースバック」という言葉を聞いても、いまいちピンと来ない、という人も多いのではないでしょうか? 会社で使用される「社用車」などの法人車両のリースを理解するうえで、是非知っておきたい「リースバック」という方法について、多賀谷会計事務所の宮路幸人税理士が解説します。

知っておきたい「リースバック」の基礎知識
「リースバック」とは、リース会社がお客さま所有の車を買い戻し、月々の利用料で利用者に貸し出す仕組みをいいます。法人車両を一括で購入して揃える場合、多額の資金が必要になるうえ、車両管理や事務手続きが非常に煩雑になることが予想されます。このような場合に活用したいのが、リースバックです。購入時よりも総支払額が高くなるケースもありますが、特に、営業上必要な車両台数が多くなりがちな法人には、メリットの多い仕組みといえるでしょう。法人の車両のリ-スバックは、リース会社によって、取引の流れは多少異なりますが、一般的には、次のような流れで手続きが進みます。

1.社用車をリース会社へ売却(帳簿価格での買取が基本です)
2.リース会社が車両代金を支払う
3.リース会社が買い取った車両をリース車として契約する
4.リース会社に毎月リ-ス料金支払いのもとで車両を使用する

リースバックをする「メリット」と「デメリット」
では、リースバックをする際のメリットとデメリットとして、どのようなものが挙げられるでしょうか?

リースバックの「メリット」
1.車両をそのまま利用できる
本来であれば、車両売却後は、所有者が買主に渡り、車両もそのまま引き渡すことが必要です。しかし、リースバックでは、所有者はリース会社に変わるものの、使用者は法人のままであるため、引き続き車両を使うことができます。

2.会計上の損益に影響しない
リース会社へ売却する際、原則、帳簿価格での購入となります。そのため、車両売却損益は発生せず、会計上の損益に影響しません。

3.コストを平準化することができる
リース契約を結んだあとは、毎月定額のリ-ス料金をリース会社に支払い、車両を使用します。リース料金には税金や保険料などが含まれているため、車両を所有していたときにかかる費用が、リース料に一本化され、コスト管理や事務作業が軽減されます。

4.車両管理を軽減できる
これまで車両所有で必要だった定期的な点検も代行してもらえ、整備士がしっかりとメンテナンスを行った、安全性が維持された車両を使用できます。コスト管理が軽減されつつも、メンテナンスが十分に行き届いた車両を使うことができます。

5.資金調達ができる
車をいったんリース会社に売り渡すので、その分の資金調達が可能となります。

リースバックの「デメリット」
1.リ-ス料が発生する
毎月支払う「リース料」が発生します。毎月の決まった固定費として支出されることを、負担に感じることがあるかもしれません。

2.自由にカスタマイズできなくなる
車両の所有者がリース会社のものとなるため、自由にカスタマイズすることができません。無断で車両に手を加えたときは、契約終了後、原状復帰の費用が発生します。

3.契約期間内に解除できなくなる
リ-ス契約期間中は、解除することができません。中途解約する場合は、「中途解約金」が発生することになります。

リースをする場合、「新車」と「中古車」の違いはある?
カーリースの仕組みとしては、中古車リースも新車リースも大きな違いはありません。契約満了時の残存価格(残価)をあらかじめ車両本体価格から差し引いて、維持費を加えて月額料金を算出するという点は、中古車リースも新車リースも同じです。ただし、下記のような違いがあります。

1.選べる車種の違い
新車リースは、おもに最新の車種を自由に選ぶことができるため、選択肢は豊富です。一方で、中古車リースは、市場に出回っている中古車ディーラーからお客さまが実際に車種を選定したうえで、リース会社へ見積もり依頼します。新車に比べて、中古車の場合は、お客さま自身で状態を見て選ぶ必要があるため、手間はかかってしまいます。

2.トラブル時の保証
中古車リ-スでは、新車リースに比べて、故障リスクが高くなります。新車であれば、メーカー保証もありますが、中古では切れている場合も少なくありません。

3.契約期間
中古車は、新車に比べると、どうしても耐用年数が短くなります。そのため、長期で契約をして利用するのは難しいでしょう。とはいえ、中古車リースには、次のようなメリットもあります。

メリット① 新車よりリ-ズナブルに利用できる
新車より車体価格が安いため、リース料も安く利用することができます。

メリット② 納車が早い
新車リースの場合、納品まで1~2ヵ月かかりますが、中古車リースの場合、在庫のあるなかから選ぶため、納車にかかる時間は約2~3週間ほどで利用を開始できます。

法人の事業資金の確保に有効な「リースバック」という選択肢
いかがでしたでしょうか。 今回は、リースバックの概要について、見ていきました。リースバックは、車両管理の手間や資金負担が軽減されることなどが魅力です。一方で、途中解約できないことや、リース料としてかかる毎月の固定費といったデメリットが大きいと感じる人もいるかもしれません。しかしながら、多くの車両が必要になる法人であれば、将来の計画や見込みを踏まえたうえで、リースバックの利用を検討するのは、事業資金を確保するうえで有効な手段といえるでしょう。


著者:宮路 幸人
多賀谷会計事務所/税理士 CFP

会計事務所における長い勤務経験・豊富な実務経験により、会計処理・税務処理及び経営や税務の相談など、様々な問題に対応。 強みのある領域は不動産と相続関連。特に相続問題では、税金面だけでなく、家族が幸せになれるトータルな提案を重視している。宅地建物取引士、マンション管理士等の資格も保有。 常にフットワークを軽く、お客様のニーズに応えるのがモットー。離島支援活動も積極的に行っている。

編集:株式会社幻冬舎ゴールドオンライン
ⒸイツトナLIVES/シャープファイナンス

【関連サービス】シャープファイナンスのカーリース
前の記事 業務効率アップの鍵! SPEEDⅡ.Webの隠れた3つの便利機能を紹介 一覧へ 次の記事 デキるビジネスパーソンは“睡眠上手”…“予算2万円”で買える「睡眠グッズ&ガジェット」6選