コラム
2024/04/26
トヨタ「ランドクルーザー」の人気が衰えないこれだけの理由とは?
公開日:2024年04月26日 更新日:2024年05月27日
国産車として圧倒的な知名度を誇るトヨタの本格派クロスカントリー車『ランドクルーザー』。その歴史は古く、1951年までさかのぼり、70年以上にわたってモデルチェンジを繰り返しながら現在まで販売が続いているロングセラーモデルです。なぜ、トヨタのランドクルーザーは70年以上にわたって人気を維持し、今も人々を魅了し、憧れの1台として選ばれ続けるのか。今回は、そんなランドクルーザーに注目が集まる理由と、その歴史や最新モデルの情報、また購入すべきモデルについて、カーライターの三木宏章氏が解説します。
トヨタ・ランドクルーザーの歴史とバリエーション展開!
(画像提供元:トヨタグローバルニュースルーム)
ランドクルーザーは、1951年8月に初代モデルとなる『トヨタBJ型』が登場し、現在まで販売が続く、トヨタを代表する本格派クロスカントリー車です。初代のBJ型からはじまったランドクルーザーの歴史は、20系、40系、70系、80系、100系、200系のように進化し、その圧倒的な信頼性・耐久性・悪路走破性から約170の国と地域で累計1130万台(※1)という販売実績を打ち立てています。日本だけではなく、世界中の過酷な環境で生活や人命を支えているクルマなのです。
また、初代のトヨタBJ型は、当時の警察予備隊(現在の陸上自衛隊)向けに開発された車両で、三菱ジープ(北米ウィリス・ジープのライセンス生産車)が正式採用されたことで民生用に転換し、1953年に量産を開始。翌1954年に車名を『ランドクルーザー』に変更しました。
そのような経緯から、ランドクルーザーは、当初は幌車(※2)のみで、オフロード走行を主体にした『ヘビーデューティー系』の車両のみでしたが、その後に5ドアの大柄なボディと高級装備を備えた『ステーションワゴン系』、さらに業務用向けとなる『ライドデューティー系』とバリエーションを増やしていきます。
原点はトヨタBJ型ですが、『ヘビーデューティー系』は20系、40系、そして現在に続く70系へと進化。一方で『ステーションワゴン系』は1967年に登場した50系から60系、80系、100系、200系、そして新型の300系に歴史をつなぎます。また、『ライトデューティー系』は70系ワゴンから70系プラド、90系プラド、120系プラド、150系プラド、そして新型の250系と現在まで続いています。
このように圧倒的な走破性に加え、高い耐久性、そしてバリエーションを増やしたことで多くのニーズに応えたことが、70年以上にわたりランドクルーザーが愛されている理由でもあります。
(※1)トヨタ自動車調べ(2023年9月時点)。累計販売台数 LEXUS LX、GXを含む数値
(※2)幌車とは、平ボディ車の荷台部分をシートで覆い、箱車の作りにしているトラックのこと。
新型ランドクルーザーのスペックや価格について
『ランドクルーザー“300”』、『ランドクルーザー“70”』、『ランドクルーザー プラド(150系)』の3車種
(画像提供元:トヨタグローバルニュースルーム)
さて、歴史を振り返ったところで、ここからは現在新車で購入できる新型ランドクルーザーについて解説します。現在、新車購入可能なモデルは、ステーションワゴン系に分類される『ランドクルーザー“300”(2024年3月末時点で注文停止)』と、ヘビーデューティー系に分類される『ランドクルーザー“70”』、そして継続販売されている先代モデルの『ランドクルーザー プラド(150系)』の3車種です。また、ランドクルーザー プラドの後継車としてライトデューティー系に分類される『ランドクルーザー“250”』も2024年前半以降~に発売が迫っています。
『ランドクルーザー300』
(画像提供元:トヨタグローバルニュースルーム)
まず、ランドクルーザーシリーズのフラッグシップモデルとなる『ランドクルーザー300』から紹介します。ボディサイズは、全長4,955~4,985mm×全幅1,980~1,990mm×全高1,925mmと、シリーズのなかでもっとも大柄で、エンジンはV型3.5L 6気筒ツインターボとディーゼルV型3.3L 3気筒ツインターボの2種類を設定。2列シートの5人乗りと3列シートの7人乗りがあり、新車販売価格はもっとも安いGXグレード(3.5Lガソリンエンジン/5人乗り)で510万円、もっとも高いGR SPORT(3.3Lディーゼルエンジン/5人乗り)は800万円となっています。
『ランドクルーザー“250”』
(画像提供元:トヨタグローバルニュースルーム)
次に、2024年前半以降発売予定となっている『ランドクルーザー“250”』です。写真は、2023年8月に公開されたプロトタイプで、全長4925mm×全幅1980mm×全高1870mmと、全長と全高ともにランドクルーザー“300”よりも少し小さくなっています。エンジンは、ディーゼル2.8Lターボとガソリン2.7Lの2種類になる予定です。価格などは、まだ発売前のため未定となっています。
『ランドクルーザー プラド(250系)』
(画像提供元:トヨタグローバルニュースルーム)
また、ランドクルーザー“250”が発売前ということで、先代モデルにあたる『ランドクルーザー プラド(250系)』も新車で購入可能です。ランドクルーザー プラドのボディサイズは、全長4825mm×全幅1885mm×全高1850mmなので、新型のランドクルーザー“250”よりもひとまわり小さくなっています。ちなみにエンジンは、2.8Lクリーンディーゼルと2.7Lガソリンというラインアップで、新車販売価格は367万6,000円~554万3,000円となっています。
『ランドクルーザー“70”』
(画像提供元:トヨタグローバルニュースルーム)
最後に2023年11月発売の『ランドクルーザー“70”』ですが、全長4,890mm×全幅1,920mm×全高1,870mmで、エンジンはディーゼル2.8Lターボのみとなります。グレードもAXのみの設定で、価格は480万円です。
ランドクルーザーを新車で買った場合の納期
(画像提供元:トヨタグローバルニュースルーム)
非常に魅力的なランドクルーザーですが、その高い人気に加え、昨今の半導体不足、さらに豊田自動織機のディーゼルエンジン不正問題による出荷停止期間などもあり、どのモデルも新車購入する場合は非常に長い納期がネックとなります。
ちなみにフラッグシップモデルのランドクルーザー“300”は、発売直後にオーダーが殺到し、すぐに受注停止となり、それから3年が経過した今も続いている状態です。ランドクルーザー“70”も同様で、運よくオーダーを入れられても納車まで数年待ちということになる可能性は非常に高くなっています。これは今後発売予定のランドクルーザー“250”も同様になることが予想されます。
さらに1世代前のモデルになるランドクルーザー プラドも納期の目処が立たない状況になっています。ほかの車種でも同様ですが、とくにランドクルーザーは買いたくても買えないという状況が続いています。
どうやってランドクルーザーを手に入れればいいのか?
(画像提供元:トヨタグローバルニュースルーム)
新車で買えないのであれば中古車を探すという人もいるかもしれませんが、中古車も高騰しているので注意が必要です。一時期のプレミアム相場に比べれば少し落ち着きましたが、それでも執筆時点(2024年2月末)、ランドクルーザー“300”を某中古車検索サイトで調べると、ヒットした台数は194台で、価格は898~1,950万円。新車価格が510~800万円なので、かなりのプレミアがついています。ちなみに、もっとも安かったランドクルーザー“300”の中古車は、3.5LガソリンエンジンのGR SPORTで、2021年式・走行距離4.4万kmで車両本体価格898万円(支払総額927.6万円)でした。
(画像提供元:トヨタグローバルニュースルーム)
そこで、ランドクルーザー“70”の中古車も気になりますが、こちらはまだ発売されて間もないので、そもそも中古車が流通していない状態ですし、もし見つかったとしても新車以上の価格になっているでしょう。
現実的に新型ランドクルーザーを手に入れることは難しく、『粘り強くディーラーに通ってオーダーを入れて年単位の納期を待つ』『新車以上の金額を出して流通している中古車を購入する』『先代などの型落ちモデルを中古車で買う』という3択になります。
型落ちモデルの中古を探してランドクルーザーに乗る
(画像提供元:トヨタグローバルニュースルーム)
どうしても今すぐにランドクルーザーに乗りたい場合は、型落ちの中古車を探すというのが現実的です。そこで先代モデルにあたる『ランドクルーザー 200系』の中古車を検索すると、執筆時点(2024年2月末)で225台がヒットしました。その価格は211.7~918万円で、平均価格は469.4万円です。低走行距離の車両は500万円前後が相場ですが、こちらも当時の新車価格482.7~697.4万円と考えると割高感があります。
また、現在新車で購入できるランドクルーザー プラド(150系)に目を向けると、執筆時点(2024年2月末)で82台がヒットし、中古車価格は159.9~639.8万円でした。1984年から長年にわたって販売されているランドクルーザー(70系)は、166台がヒットし、中古車価格は155~759万円で、平均価格は412.8万円でした。
ランドクルーザーは、以前から中古になっても値落ちが少なく、型落ちモデルでも程度のよいクルマを探すことは非常に大変でした。年式問わず高値で取引きされ、海外需要も多いことから車両盗難の被害にあいやすいクルマとしても知れ渡っているほどなのです。
ランドクルーザーはつねに売りどきのクルマ
(画像提供元:トヨタグローバルニュースルーム)
このようにランドクルーザーは憧れのクルマであり、つねに人気が高く、昨今の供給不足もあり、いつでも売りどきのクルマと言えます。裏を返せばランドクルーザーは、資産になるので買っても損をしない1台です。高値で中古車を買ったとしても値落ちが少なく、非常にリセールバリューの高いモデルなので、本当にランドクルーザーに乗りたいのであれば、いつでも買いどきとも言えます。ただし、新型・旧型ともに価格が異常に高騰していることは間違いないので、供給状況を見ながら購入を検討するというのが最善策でしょう。
著者:三木 宏章 合同会社コンテンツライト
編集プロダクションにて、月間自動車雑誌の編集者としてキャリアをスタート。出版社に転職後、パソコン・ガジェットを中心したムックを担当。出版社を退社後は、1年半にわたってバックパッカーをしながら17ヵ国を渡り歩き、帰国後はWEBコンサルティング会社でコンテンツ企画・制作・運用などを担当。その傍ら、コピーライターとしてブランディング事業などにも携わる。
2017年にフリーランスとして独立し、その後、編集プロダクション『合同会社コンテンツライト』を設立。自動車業界を中心に“ものづくり”に関わる多数の企業・メディアで執筆やコンテンツ支援を担当する。
編集:株式会社幻冬舎ゴールドオンライン
提供:ⒸイツトナLIVES/シャープファイナンス
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