コラム

「雑談上手」な人がビジネスシーンで重宝される、これだけの理由【専門家が解説】

公開日:2025年04月21日 更新日:2025年04月21日

仕事においても、プライベートにおいても、避けることができない「雑談」。しかし、この雑談に苦手意識を持っている人は少なくありません。むしろ「ビジネスで雑談ってそれほど重要なのだろうか?」と思っている人もいるのではないでしょうか。しかし、実はビジネスシーンこそ、雑談力の高さが必要なのです。株式会社話し方研究所代表取締役社長の福田賢司氏が、雑談上手な人の特徴と雑談力向上のテクニックについて解説します。

ビジネスシーンで「雑談」が重要なワケ
雑談というのは、その場、そのとき、自然に発生するもの。会話の流れを予測することもできないし、本人のセンスとしかいいようがない……というのが一般的な感覚だと思います。
しかし、ビジネスシーンにおいては、会議を円滑に進めたり、やっかいな商談に臨んだりと、「コミュニケーション」がカギになる場面が非常に多くあります。そして、こうしたコミュニケーションにおいては、相手と信頼関係を築き、親しみを持たれていることが有利に働くのです。
もしも「あの人の言うことなんて聞きたくない」などと相手に思われていたとしたら、ビジネスをうまく進めることはできません。信頼関係を獲得するためにも「雑談」が重要になってくるのです。

エネルギー、承認、物語…「雑談力」が高い人の3つの共通点
筆者がこれまで見聞きしてきた人のなかには、経験により雑談の重要性を認識し、自分なりに「雑談力」を高めている人が多くいました。「雑談力」が高い人には、下記のような3つの「共通点」があります。
1.「反応」にかけるエネルギー量が高い
雑談力の高い人は、エネルギー量の高い「反応」をしています。タレントの明石家さんまさんを思い浮かべてください。トーク番組において、ゲストのエピソードトークに対し「ほぉ!」「へぇ~!」「信じられへんな!」などと、絶妙かつ大袈裟なリアクションで相槌を打っていますよね。
雑談がうまくなるためには、「雑談に参加している」ということを、これでもかというほどアピールすることが大切です。そのためには、いい反応をすることがカギになってきます。
2.「承認」のアプローチを多く使っている
雑談力の高い人は、「それはすごいことですよ!」「なかなか普通の人にはできませんよ!」などと、相手の話の価値を承認するような合いの手を入れていることが多いです。
1976年から放送されている長寿トーク番組「徹子の部屋」を観ると、司会者の黒柳徹子さんは、会話のなかでさりげなくこの「承認」のアプローチを使い、ゲストが気分よく話ができるように導いていることがわかります。
3.「物語」を語り、聞くことができる
雑談力の高い人は、情報だけでなく、その裏に潜む物語を聞き出そうとしています。たとえば、「私は牡蠣が苦手で……」と「相手は牡蠣が苦手である」という情報を手に入れたら、「そうなんですか」だけで終わらせず、「え、なにかあったんですか?」と牡蠣が苦手になるにいたったエピソードを聞くために、さりげなく深堀りしているのです。
そうすると、「もう5年も前のことですが、出張先で入った寿司屋で牡蠣にあたりまして、次の日仕事にならなくて……」と、情報の背後にあった物語が顔を出します。ここまで聞けば、そこからさらに話が広がり、雑談が盛り上がっていきます。
自分から相手になにかを話す際にも、物語のあるエピソードを語ることで、相手はそのあと話を広げやすくなるでしょう。
イギリスのスタンフォード大学の研究によれば、「物語性のある説明は、事実や数字といった情報だけの説明より、22倍も記憶に残る」というデータがあります。物語を語る・聞き出す雑談をするだけで、あなたは「記憶に残る人」になるのです。

いたずらをした猫
「猫がいたずらをする」よりも「うちの猫は土を掘るのが好きで、この前も…」のほうが物語の入り口になる

「同調しすぎ」も考えもの…雑談力が“低い”人の共通点3つ
では反対に、雑談力が低い人には、どのような共通点があるのでしょうか?
1.雑談に苦手意識を持っている
雑談に苦手意識を持っている人も多いと思いますが、その苦手意識が先行し、会話に乗ることを躊躇していると、相手もあまり雑談を楽しめません。相手からは、あなたが“消極的な人物”に見えてしまい、会話も尻すぼみになってしまいます。
2.お決まりの同調が多い
心理学の分野では、「傾聴」が重要なコミュニケーションスキルといわれています。しかし、単調な同調や共感には注意が必要です。
「わかりますそれ」「辛いですよね」など、話し手の気持ちに寄り添って相槌を打つことは大切ですが、話し手は、あなたが本当に共感しているのか、それとも“テクニック”として安易に共感しているフリをしているのか、敏感に感じ取っているものです。
関係性の構築は重要ですが、時に自分なりの本音をぶつけることも重要です。終始同調と共感だけを繰り返していては、雑談は表面的でつまらないものになってしまいます。
3.あまり笑わない
人は、自分が楽しい話をしていると思うとき、聞き手のリアクションが気になるものです。「笑ってくれるかな」と思っていても、相手が笑ってくれないと、「スベッた」「恥ずかしい」と感じてしまいます。
また、失敗談を話した際に、深刻に同情されるのも考えものです。話し手は、「笑い飛ばしてほしい」と思っている場合があります。見極めは難しいですが、相手が話すトーンによって臨機応変に反応を変えられると良いでしょう。

いますぐ実践できる「雑談力向上」テクニック
雑談力向上のためにできることはさまざまありますが、普段から実践できることとして、今回は2点ご紹介します。
1.物語を語る力をつける
前述のとおり、物語は人の記憶に残ります。そして、互いの距離を縮めるのにも役立ちます。したがって、雑談力向上のためには、まず「物語を語る力」をつけるとよいでしょう。具体的には、「情報を伝えるとき、物語を加えて話す」ということを習慣化することです。
たとえば、「私は猫が好きで」と言いたいとき、猫が好きになったきっかけや、猫にまつわるエピソードなどを添えて話すのです。ビジネスの話題であっても、自分なりに大事にしている考え方や理想について、なぜそのような考えをもつに至ったか、物語を加えて語れるとよいでしょう。
2.話すより、「聞く」ことを意識する
また、雑談において大事なのは“話す”ことよりも“聞く”ことです。
雑談を盛り上げようと、自分ばかり話してしまう人がいます。サービス精神旺盛なのは悪いことではありませんが、雑談は、相手を主役にしてあげることでより盛り上がります。
よく笑い、ときに本音を返し、聞き手として一生懸命反応を示すことを最優先にしましょう。

今回見てきたように、自身の雑談を客観的に見直し、戦略的に修正していくことで、ビジネスを円滑に進めることが可能です。また、雑談力を鍛えれば、ビジネスだけでなくプライベートにもおおいに活きるでしょう。
雑談力を鍛えることで、仕事・プライベートともに、豊かな関係を発展させることができるはずです。

 

著者:福田 賢司:株式会社話し方研究所 代表取締役社長 (編集:幻冬舎ゴールドオンライン)

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