コラム

【麹町散歩】広くて、深くて、面白い。シャープファイナンス本社の建つ「麹町」をご案内

公開日:2025年12月26日 更新日:2025年12月26日

皆さまこんにちは。シャープファイナンスです!
2025年12月現在、弊社は22か所の拠点を構えて営業しています。このコラムを読んでいただいている方の中には、ご来社いただいた方もいるかもしれませんね。前回(2024年8月)は、お膝元の街として「四ツ谷」を紹介させていただきました。
今回はシャープファイナンスの本社(東京本社)、もうひとつの最寄り駅であり所在地、東京千代田区「麹町エリア」の意外と知られていない歴史や見どころ、おすすめのお店、グルメなどについてご紹介します。

「麹町」ってどこからどこまで?複雑で奥深い地名の話

麹町番町紀尾井町江戸古地図麹町古地図『麹町永田町外櫻田絵図』(部分)国立国会図書館蔵

「麹町」と聞いて、どの範囲を思い浮かべますか?実は意外と広いのです。
現在の麹町は1丁目から6丁目までですが、1丁目は半蔵門駅周辺で、ほぼ皇居の門前。かつては半蔵門から四谷見附までが麹町1丁目から10丁目、さらに四谷見附より外に13丁目まで存在していました。麹町駅は、この長い麹町エリアのほぼ中間地点なのです。
そして地形に着目すると東京駅や有楽町駅が標高3mなのに対し、麹町駅は標高24m、半蔵門駅は標高30m近く、麹町1丁目に至っては標高31.9m。皇居を挟んで、東京駅・大手町のある東側(大手門・和田倉門側)と、半蔵門のある西側との間には、マンション10階分もの高低差が存在するのです。さらに隣接する番町エリアは、四番町が27.4mと麹町より高いところもあれば、一番町は20.7mと低いところもあり、台地の起伏が複雑に入り組んで南北の移動に坂道が多いのもこのエリアの特徴です。

シャープファイナンスの入居する「住友不動産麹町ガーデンタワー」紀尾井坂清水谷に面した1階のエントランス、そして新宿通り(麹町大通り)側のエントランスは3階にあります。まさに、都心での大きな高低差と境界の妙を実感できる場所に建っています
白黒古地図

武家の街から明治維新へ―麹町の歴史

麹町の地名の由来は諸説ありますが、幕府の麹御用を勤めた麹屋三四郎が1丁目の堀端に住んだことから「麹町」と名付けられたという説が有名です。一説には、国府路(こうじ)、つまり府中の国府へ向かう街道の町だったことから「国府路町」が転じたともいわれます。
江戸時代、この一帯は江戸城の西側を守る重要なエリアでした。半蔵門から見て右手(北側)には番町の旗本屋敷、左手(南側)には但馬豊岡藩、播磨明石藩、近江彦根藩井伊家などの大名屋敷が並び、その中央を貫く麹町通り沿いには、武家の御用を調達する商家が軒を連ねていました。日本橋の商家が町人向けの大店だったのに対し、麹町は武家や千代田のお城を相手にする商いで栄えたのです。
番町麹町町会の方によれば、かつては日本橋に対抗するような大きな店があったものの、明治維新後の武家の没落とともに運命を共にした店も多かったとのこと。歴史の転換点が、この街の姿を大きく変えたのです。

「博打と女郎は麹町の井戸」―大河ドラマで言及された深い井戸

2025年の大河ドラマ「べらぼう」でも言及された、江戸時代の俗諺があります。「博打と女郎は麹町の井戸」――やめられない、止まらない、底なしという意味です。台地の上に位置する麹町では、良質な水を得るために深く井戸を掘る必要がありました。地形が生んだ生活の知恵が、やがて言葉として人々の記憶に刻まれたのです。
実はこの麹町には「尚泉水」という、江戸時代から現存する深い深い井戸があります。関東大震災の際に集まった人々に開放された救いの水で、現在も新宿通り沿い、豊受稲荷の横に水を湛えています。

知る人ぞ知る、麹町の隠れた名所、散歩道

● 建築好きなら必見「紀尾井清堂」

紀尾井清堂左上:ガラスで覆われた15m角のコンクリートキューブ/右上:2階から見た吹き抜けの内部/右下:紀尾井側1階エントランスから眺める/左下:1階ピロティの石州瓦を使った床。時間帯によってガラス越しに虹が映り込む

住友不動産麹町ガーデンタワーを1階の紀尾井町側から出ると、ガラスに包まれた不思議な建築が目に飛び込んできます。内藤廣氏設計の「紀尾井清堂」です。
15m角のコンクリートキューブをガラスで覆い、高低差を利用した1階ピロティ部分の4本の柱で浮かせたような構造。麹町側から見える部分は実は2階以上の部分です。最大の特徴は、施主である倫理研究所が内藤氏に「何の用途にも縛られない建築家の作品を、東京の真ん中にどんと作ってもらう」と依頼したことで、今も用途は名付けられていません。2階から5階は吹き抜けで回廊だけがあり、木材をふんだんに使った独特の空間が広がります。
不定期の展覧会などで一般公開され、かなりの人が訪れるのですが、周囲に勤務する人は意外と知りません。建築に興味がなくても、この「用途を持たない美しい箱」は一見の価値があります。
※小ネタとして、左側に隣接する「海事協会別館」も建築の巨匠・村野藤吾氏の作品です。ツバメの飾りがついたファサードに、T字の窓が独特!

引き戸を開けてみて「ヒシダボタン店」

ヒシダボタン店麹町(左)絵本「小さな家」のような佇まい。左上は職人手作りの小さな椅子「SINCE 1921」創業年が刻まれる/(中)ヨーロッパのビンテージボタンや職人によるリメイク品/(右上)学校の生徒に贈られた100周年記念のアクリルボックス/(右下)引き出しにぎっしり詰まったボタンたち

麹町4丁目、麹町駅の通りにポツンと佇む小さな建物。大正時代、来年で105年目を迎える老舗のボタン専門店「ヒシダボタン店」です。
まるで絵本「小さな家」のような佇まいに、多くの人が足を止めます。外から覗くと無人に見えることもありますが、引き戸をそっと引けば、温かく迎え入れてくれます。
店内は、駄菓子屋さんのようでもありギャラリーのようでもある、宝物の小箱。ヨーロッパから見つけてきた古いビンテージボタンや、それを元に日本の職人が手掛けたリメイク品、そして80円、100円といった手頃なものまで、ボタンひとつひとつに物語があります。近所の学校の生徒が贈ったという、お店の100周年記念のアクリル箱が飾られていたり(面ごとにお店の古い姿から今の形が描かれています)、ボタンの材料のアコヤガイやクロチョウガイのトレーと、見飽きません。
デザイナーなどプロも来店する一方、コートの襟に付け替えるボタンを真面目に選ぶ街の人も。誰もが、自分だけの宝探しをできる場所です。

麹町で味わう、格別のランチと手土産

歴史が息づく「Dohkan」

麹町ドーカン(左)新宿通り沿いにさりげなく建つ小さな入り口/(中)落ち着いた店内。下、キャラメルから炊いたアイスクリーム/(右)上、コースのポタージュスープ。下、メインのハッシュドビーフ

麹町1丁目、半蔵門駅からすぐの新宿通り沿い。昭和61年オープンの「Dohkan」は、ガラス張りの明るい店内で16時までランチセットやお茶とケーキで過ごせる貴重な一軒です。
このお店を開いたのは、明治7年創業の洋菓子の名店「村上開新堂」5代目の山本道子さん。村上開新堂は、京都から東京遷都に伴奉した禁裏の武士であった初代が、刀を包丁に持ち替え、横浜で西洋菓子の技術を学び宮内庁や鹿鳴館で腕を振るったことから始まる老舗です。この街に育ちニューヨークの生活を経て帰国した山本さんが、Dohkanで掲げるのは”東京キュイジーヌ”。世界各国の料理を軽やかに自由に、和洋にとらわれない「東京育ち」の味として提供しています。

週替わりのメニューはたっぷりとしたスープと4種類ほどから選べるメインの一皿、深い香りの紅茶や自家製コーディアルなどがついて1600円から2000円前後。この立地とクオリティを考えると、驚くほどリーズナブルです。わずか20席ほどの店内は、お昼時には満席になることも多く、14時を回ってからは遅めのランチやお茶をする常連の皆さんの気配で賑わいます。
予約もできますが、時間をずらしてふらりと立ち寄るのも良し。ケーキや焼き菓子だけ買って帰る人もいる、気軽に訪れられるお店です。

通学路にある大人のケーキ屋さん「パティシェ・シマ」

パティシエシマ麹町
上品なファサード、人気の生チョコレート「東京の石畳」が描かれている。大通りから番町側に坂を下りる立地。この日のおやつはレモンケーキとミニカヌレ。

番町1丁目の住宅街にひっそりと佇む「パティシェ・シマ」。有名で高名な店ですが、入口近くにはそっと「今日のおやつ」という100円から200円のコーナーがあります。
その時々の菓子作りの合間で不定期に出る、ひとくちぶんのクッキーや小型カヌレなど、美味しいケーキの一部を取り分けたものや懐かしいレモンケーキ。近隣の小中学校の子どもたちがガラス窓の外を駆けていく姿をみると「なるほど、おやつ!」と、麹町という街の懐の深さを感じます。(実際はお子様が立派なケーキを注文し、親御さんが家事の合間用に買っていかれる姿も多いようですが)
手土産用にクッキー缶や本格的なケーキはもちろん、気軽なおやつにも。地域に根ざした名店です。

歩いてみたい、ホテルニューオータニの日本庭園

ニューオータニ東京日本庭園正確には(紀尾井清堂と同じく)紀尾井町になりますが、弊社お向かいの素敵なスポットという事で紹介させていただきます。庭園の開放は朝6時から夜22時まで。

ホテルニューオータニの日本庭園は、無料で見学でき、約1万坪(東京ドームの3分の2ほど)の広大な敷地を散策できます。
元々は加藤清正の下屋敷に始まり、井伊家の中屋敷、伏見宮邸宅を経て400年余りの歴史を持つ庭園。高さ6mの大滝や朱色の太鼓橋、350匹の鯉が泳ぐ池など。すぐ外の首都高や繁華街、高層ビルのことなど忘れてしまう、都心とは思えない風景が広がります。夜にはライトアップも行われ、四季折々の表情を楽しめます。
ニューオータニ日本庭園

赤坂見附駅から徒歩3分、麹町駅からは徒歩6分。弊社からも3分ほど。お昼休みや仕事帰りに立ち寄れる、贅沢な散歩道です。

[現代地図:麹町散歩マップ]
 麹町現代地図現在の麹町周辺マップ。上の古地図と同じ範囲を示しており、半蔵門から四谷見附まで続く麹町通り(現在の新宿通り)の変遷が見て取れる。今回ご紹介したスポットはすべて徒歩圏内に点在しています

麹町は「発見の街」

高低差のある地形、歴史の転換点を見つめてきた街並み、知る人ぞ知る名建築や老舗。麹町は、歩けば歩くほど新しい発見がある街です。
弊社に来社される際、あるいは麹町駅や四ツ谷駅を利用される際には、ぜひ少し足を伸ばして「麹町散歩」をお楽しみください。きっと、この街の奥深さに驚かれるはずです。

提供:ⒸイツトナLIVES/シャープファイナンス

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