コラム
2025/11/14
上司と乗るエスカレーター「立ち位置」は前?後ろ?「昭和・平成のビジネスマナー」が身を助ける!【元大手金融出身経営者に取材】
公開日:2025年11月14日 更新日:2025年11月14日

電話は率先して取る、朝は上司より早く出社……コロナ禍を経てリモート勤務が浸透しつつある現在、昭和・平成の時代に常識とされていた“社会人マナー”を知らないビジネスパーソンが増えています。「時代が違う」と切り捨てるのは簡単ですが「単に知らない」ままいると気づかぬうちに相手の心象を損なうリスクも。
そこで今回は、若手が知っておくべき「社会人マナー」の数々を、元大手金融出身の経営者A氏に伺いました。
あいさつ、声がけは積極的に…ただし言葉遣いには注意!【社内編】
そもそも「社会人マナー」は、ビジネスの場における“潤滑油”のようなもの。ただ、ハラスメントに対する意識が高まっている昨今、上司や先輩が若手の「失礼な振る舞い」を注意してくれる機会は減りつつあります。しかし、だからこそ身に着けておくだけで飛びぬけて良い印象を与える可能性も秘めているのです。
まず「社内」におけるマナーを見ていくと、「朝は誰よりも早く出社すること」だとA氏。会社によっては早すぎてもよくないケースもありますが、少なくとも上司よりは早く出社したほうがいい、と言います。
「たとえば9時が定時なら、9時には全力で仕事を始められるように上着を脱いだり鞄をしまったり、準備をしておくのが最低限ですね。周囲がどのような動きをしているか把握するためにも、上司よりは早く出社したほうがいいでしょう。そして、上司が来たら大きな声で『おはようございます』とあいさつする。これだけでもかなり印象が違います」
また、上司へのあいさつに限らず、周囲への声がけは率先して行いたいもの。たとえば、営業職の先輩や同僚が社外へ出ていくときは「行ってらっしゃい」、自分が出ていくときは「行ってきます」と声がけするのがよいでしょう。
「そして、戻ってきたら『戻りました』『お帰りなさい』と声をかける。昔は、元気にこういう声がけをする文化がありました。今はリモート勤務が中心の会社の場合、驚く人もいるかもしれませんが、若手がそうした声がけをするのは、周囲の人も気持ちいいものです」
ただ、社内でのあいさつは、言葉の選び方に注意する必要があります。
「社内で目上の人とすれ違うときは『お疲れさまです』とあいさつするのが一般的です。今は『ご苦労さまです』と言ってしまう若手もいると聞きますが、これは相手に『世の中を分かっていない』と思われてしまうので、気をつけたほうがいいでしょう」
※ご苦労さまとは、主に目上の人が目下の人に対して使うねぎらいの言葉。
「電話を取る」ことのメリット
社内コミュニケーションでは、ほかにも知っておくべきマナーが存在します。たとえば、目上の相手が自分の席に来て話しかけてくれた際は、必ず「立ち上がって」話をするのが、今も昔も変わらないマナーだとA氏。
「目上の人が立っているのに自分が座ったまま会話するのは、気持ちのよいことではありません。逆に自分が上司の席に行くときは、上司の後ろに立つのは土足で踏み込んできたような印象を与えてしまうので、前に立つのがベターです。加えて、呼ばれたら“手ぶら”では行かないこと。必ずペンとメモを携帯し、メモする習慣をつけましょう」
そして、社会人マナーといえば、しばしば論争のネタにもなる「電話」の問題。昭和・平成の時代は「誰よりも早く電話を取るのが若手の仕事」とされていましたが、いまは「電話を取るのが苦痛」という声が多いのも事実です。ただ、A氏は電話を取ることにはメリットもあると言います。
「電話は、たとえ分からないことだらけでも最初に取るといいですね。誰がどのような担当をしているのかなど、社内のいろいろな事情が分かってくるし、周囲の人からの印象も良いです。あとは来客についても率先して対応することをおすすめします。これも電話と同じで、社内の事情理解につながります。自分の業務を超えていろいろな情報が得られるのでむしろお得くらいに思っていいんじゃないでしょうか」
エスカレーターの立ち位置は上司の前?後ろ?【社外編】
社会人マナーが必要とされるのは社内だけではありません。たとえば、上司と一緒に取引先との打ち合わせに向かう場合。まず、電車に乗る際の大原則として、「自分のせいで上司を待たせてはいけない」ということは覚えておきたいマナーだとA氏。そのためには、交通系ICカードには前もってチャージしておくなどの細かい配慮が必要です。
また、目的地までの行き方をしっかり把握しておくことも必要不可欠。
「乗る路線や出発時間などを調べておき、若手から上司に伝えるのが望ましいですね。もちろん、ほとんどの上司は自分で把握しているはずです。それでも、やはり部下から提案することが大事だと思います」
そして目的地へ向かう際、意外と見落としがちなのが「エスカレーターでの立ち位置」です。上司を誘導していると、ついエスカレーターもそのまま自分が先に乗ってしまうかもしれませんが、これは失礼にあたります。エスカレーターの立ち位置は「上司が前」「自分が後ろ」が正解です。
「上司にお尻を向けてはいけません。気持ちよく案内していると、エスカレーターでもつい前に立ってしまいがちですが、乗る瞬間は後ろに下がりましょう。実は、私も一度失敗したことがあって……。当時勤めていた会社で部署が変わり、上司との最初の出会いが空港だったのですが、あまり詳しくない空港で導線を確認しながら案内していたらエスカレーターでそのまま上司の前に乗ってしまい、苦笑されたことがありました(笑)」
社会人マナーを自分の“財産”に
社会人マナーは、クライアントの心象を損ねるリスクを回避するためにも必要な知識。あらかじめ上司を相手に実践し、最低限のマナーを身に着けておけば、いざクライアントを相手にしたときでも自然に振る舞えるというメリットがあります。
また、朝早く出社したり、率先して電話に出たりすることは、仕事への解像度を高める一助にもなります。人と対面する機会が減り、こうした社会人マナーが共有されづらい現在こそ、ライバルに一歩差をつける“財産”として身に着けてみてはいかがでしょうか。
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